宇宙の錬金術を観察するためのカギを赤外線域で発見―松永典之(助教)


天文学教室の松永典之助教らは、京都産業大学神山天文台の荒木望遠鏡に取り付けた近赤外線分光器WINEREDで得た恒星のスペクトルを用いて、原子番号が29以上の元素が0.97~1.32マイクロメートルの波長域に生じさせる吸収線を系統的に調査しました。理論計算に基づくリストでは14種類の元素による100本以上の吸収線が期待されましたが、実際には9種類の元素によって生じる合計23本の吸収線を同定しました。微弱な吸収線が多いため、WINEREDで得た品質の高い近赤外線スペクトルによってはじめてこのような結論に達することができました。この研究で吸収線が同定された重い元素は中性子捕獲元素と呼ばれるもので、重力波の発生源としても注目される中性子星合体などで合成されると考えられています。