暗黒エネルギーを解明する鍵は、超新星による生命絶滅?ー戸谷友則(教授)


宇宙膨張を加速させる謎の暗黒エネルギーを解明する鍵は、超新星による生命絶滅にあるのではないかという新説が本専攻の戸谷友則教授らの論文で提唱され、米国サイエンス誌のニュースで取り上げられました。

宇宙膨張を加速させる宇宙定数(あるいは一般化して暗黒エネルギー)は、現代宇宙論における最大の謎とされています。観測されている値は、基礎物理学理論から予想される値にくらべて少なくとも50桁以上小さいと言われており、なぜこんなに小さいのか、満足のいく説明はありません。一方で完全にゼロでもなく、ちょうど我々が住む今の時代に現れてくる点も、謎に拍車をかけています。これを理解する一つの有力なシナリオが、人間原理です。宇宙定数は宇宙誕生時にランダムな値をもって生まれるとすると、宇宙定数が大きい宇宙では加速膨張が早く起きて、銀河ができなくなってしまい、その結果、我々のような観測者も生まれないというものです。

しかしながら、最新の銀河形成理論によれば、宇宙定数が観測値より100倍大きくても銀河はそれなりにできるので、人間原理による説明はうまくいかないのでは、とも考えられていました。今回、戸谷教授らのチームは、銀河や星が生まれるだけでなく、近くの超新星からの放射によって生命が絶滅する効果を考察しました。宇宙定数が大きな宇宙では、宇宙の密度が高いうちに銀河形成が止まってしまい、星の密度も高くなります。その結果、近くで超新星が起きて、生命が住めない環境になる確率も高くなります。これを考慮してモデル計算を行ったところ、確率的に期待される宇宙定数の値が、観測値に近いものになりました。暗黒エネルギーの値を自然に説明する上で、この効果が本質的な役割を果たす可能性を示しています。

2018年5月4日付 米国 Science 誌・ニュース
戸谷教授らの論文(arXiv.org)