電波望遠鏡で夜空を観測していると、継続時間がわずかに数ミリ秒という極めて短い、「高速電波バースト(Fast Radio Burst=FRB)」という謎のフラッシュ現象が起きます。数年前に発見されたばかりで、観測された電波の特徴から、パルサーなどの銀河系内の既知天体ではなく、銀河系外、しかも50〜100億光年という宇宙論的な遠距離からやってきていることが示唆されていました。しかし、直接的な距離測定はこれまで全く例が無く、実は天体現象などではなく地球大気における発光現象ではないかという主張すらありました。
今回、東京大学や国立天文台などを含む国際研究チームは、オーストラリアのパークス電波天文台が発見したFRBに対してすばる望遠鏡で追観測を行い、初めてFRBが発生した遠方の銀河を突き止め、その距離が50億光年という遠距離であることを証明しました。これにより、FRBは本当に宇宙論的遠距離にある巨大な爆発現象であることが明らかになり、また、宇宙における通常物質(バリオン)の大半が未検出だったという、宇宙論上の「ミッシングバリオン問題」が解決しました。今後、FRBの正体を明らかにし、また宇宙論研究に応用するため、さらなる研究の活発化が期待されます。
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