天文学教室談話会

last-update:2018/04/23

  次回第1650回 2018年4月24日(火) 16:00-17:00

光度曲線とAO撮像を用いたマイクロレンズ系外惑星の研究
越本 直季 (天文学教室/ABC)
標準的な惑星形成論であるコア集積モデルは、原始惑星系円盤中のスノーラインの少し外側で、木星質量の巨大ガス惑星から地球質量の氷惑星まで様々な質量の惑星の形成が活発になると予言する。これまでに3000個以上の太陽系外惑星が発見されているが、そのほとんどがスノーラインの内側の惑星である。スノーライン外側領域の探査は惑星形成過程の解明にとって非常に重要であり、重力マイクロレンズ法は他の手法では発見しにくいこの領域で地球質量の惑星を検出できる唯一の方法である。
重力マイクロレンズは天球上でソース天体の手前をレンズ天体が横切る時に起こる増光現象である。レンズ天体に惑星が付随する場合、増光曲線から主星と惑星の質量比が測定されるが、それらの質量の決定には、レンズ天体の明るさの測定が一つの鍵となる。観測領域は星が密集しているため、宇宙望遠鏡か補償光学(AO)装置を用いた高空間分解能撮像により、イベント(ソース天体+レンズ天体)と他の星を分離できれば、光度曲線から求められるソース天体の明るさを差し引くことで、レンズ天体の明るさを検出できる。
本講演では、惑星が検出された二つの重力マイクロレンズイベント、OGLE-2012-BLG-0950とMOA-2016-BLG-227の観測結果について議論する。両イベントともにKeck望遠鏡のAO装置によって高空間分解能撮像観測され、天球上のイベントの発生位置にソース天体以外に明るさを持つ天体があることがわかった。この超過分にはレンズ天体の明るさがある割合で含まれる。我々は、この割合を求めるための従来の解析法の統計的取り扱いが正しくないことを指摘するとともに、新たにベイズ推定を用いた正しい解析法を開発した。この方法を用いた結果、OGLE-2012-BLG-0950の場合は、超過の明るさが全てレンズ天体のものである確率が高い一方で、MOA-2016-BLG-227では他の星の明るさが大きい割合で含まれている確率が高いことがわかった。これらの解析の結果、OGLE-2012-BLG-0950のレンズ天体はM型またはK型の主星とそのスノーラインの外側にある海王星と土星の間の質量の惑星からなる系であることがわかった。コア集積モデルによればこのような惑星系はできやすいとされているが、検出感度不足のためか既発見数は少ない。また、MOA-2016-BLG-227のレンズ天体は、M型またはK型の主星周りの巨大ガス惑星からなる系であることがわかった。このような惑星系はコア集積モデルでは説明が難しいため、他の惑星形成過程で生まれた可能性を示唆している。
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