130億光年先のブラックホールを包み込む ダークマターの質量を初めて測定―有田淳也(修士課程2年)、柏川伸成(教授)


宇宙にはダークマターと呼ばれる未知の物質が大量に存在していると考えられています。ダークマターは光を発しないため直接観測することはできませんが、その塊であるダークマターハローが銀河の質量の大半を担っており、銀河の成長に大きな影響を与えると考えられています。一方、超大質量ブラックホールはほぼすべての銀河の中心に存在し、その活動性が高まるとクェーサーとして観測されます。この11~12桁も大きさの異なるブラックホールとダークマターハローが、特に初期宇宙において、どのような関係を持っているのかは謎のままでした。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻の有田淳也大学院生、柏川伸成教授、愛媛大学の松岡良樹准教授らの研究チームは約130億年前の初期宇宙におけるクェーサーの分布を調べ、そのダークマターハローの質量を初めて測定することに成功しました。その結果、130億年前の時代でもそれ以降の時代と同程度の質量のダークマターハローにクェーサーが発現している、言い換えるとブラックホールが活動性を高めるために必要なダークマターハローの質量は一定であることが分かり、ブラックホールが活動的になる普遍的なメカニズムが存在する可能性が示唆されました。今後、現在計画中の大規模観測が進むとより過去のクェーサーについてダークマターハローの質量を測定することが可能になると期待され、宇宙の歴史におけるブラックホールの成長や銀河との共進化についての理解が深まると考えられます。