高感度赤外線分光観測で探る天の川円盤最内縁部の化学組成を測定―松永典之(助教)


天の川銀河の中心から1~2万光年(銀河円盤領域の内側)に位置するセファイド変光星の金属量を測定することに成功し、銀河円盤領域の外側で知られていた関係をほぼ一直線に伸ばす単純な金属量の傾向(金属量勾配)が存在することを発見しました。銀河円盤領域の内側にある星の分光観測は、これまでのほとんどの金属量測定で使われていた可視光スペクトルでなく、赤外線スペクトルが必要です。今回の観測結果は、WINERED(ワインレッド)赤外線分光器をチリにあるマゼラン望遠鏡(口径6.5m)に設置して行った初めての本格的な化学観測で得られた成果です。最近発見された化学組成の測られていないセファイド変光星は数千個存在します。WINERED分光器などによる観測を進めていくことで、天の川の円盤全体をカバーするような広い範囲の金属量分布を正確に描き出すことができます。