地球の大気の揺らぎを極限まで補正して太陽系外惑星を直接に撮像―田村元秀(教授)、Kwon Jungmi(特任助教)


東京大学理学系研究科の研究者を中心とする国際研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された超補償光学装置を用いて、新たな系外惑星HIP 99770 bの直接撮像による発見に成功しました。はくちょう座の方向130光年の距離にある、見かけの明るさが4等級と肉眼でも見える恒星HIP 99770を、太陽-地球間の距離の17倍離れて周回する系外惑星です。この発見は、欧州宇宙機関が打ち上げたガイア衛星と先任のヒッパルコス衛星による精密なアストロメトリ(位置天文学)のデータを利用して、惑星が存在する間接証拠を恒星の位置のふらつき(加速運動)から先に得ておき、有望天体のみを大望遠鏡と超補償光学を用いて直接撮像する手法にもとづくものです。恒星のふらつきのデータを加味することで、この系外惑星の質量は木星の質量の15±1倍であると推定されました、直接撮像で見つかった系外惑星としては、これまでより格段に精密な推定になります。

このような手法で発見される惑星は、今後の地上の超巨大望遠鏡による高コントラスト観測を実証する上で最適です。また将来、地球の双子を写すための技術としても有望で、今後の発展が期待されます。